読書メモ 20100303
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    『出世花』高田郁

    出自は武家だったが、理由があって、江戸近郊の墓寺に拾われた娘・お縁。
    お縁の10歳から19歳までの成長を追いながら、
    《湯灌》をテーマに、人の死にまつわるドラマが描かれています。

    お縁がいい、寺の僧侶がいい。清々しく、読後感がよい。
    良質の時代小説を読んだなぁ〜という感じです。

    ☆☆☆☆

    『朝霧の立つ川』高橋秀雄

    舞台は、昭和40年の、栃木県・船生村。
    主人公は、4人きょうだいの長子・ミチエ。
    両親はひたむきに働くけれど、家は貧しさから抜け出せない。
    ともすれば、ミチエは、貧乏におしつぶされそうになりながら
    それでも、けなげに生きる。

    読みながら、『豆腐屋の四季』を思い出しました。
    同じ時代の同じ空気を感じます。
    いったい、初版はいつなのだろうか、と奥付を見て、
    えっ? 2009年11月?
    今のこの時代に、なぜ昭和の貧乏物語を? 
    一瞬驚き、すぐに思い当たりました。
    収入格差が広がる中、平成のミチエもまた、数え切れないほど
    いるのだろうということを。
    親の収入減のため、進学をあきらめる子どもたちも多いらしい。
    一方で、中学受験率は過去最高を記録していて
    複雑な気持ちになります。

    本書ですが、ミチエの葛藤がリアルです。
    リアルすぎて、胸が痛くなるけれど、
    そこは児童書、救いがあります。

    児童書が好きでよく読みますが、改めて、その理由を考えると、
    物語として無駄がなく、普遍的なことを伝えているからかなと
    思います。
    その意味では、この本は、大人の鑑賞にも堪える、優れた児童書だと
    言えます。

    ☆☆☆☆

     
    | anomom_s | - | 14:28 | - | - |
    本の選び方
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      最近、読書メモをここに書くことが多いのですが、
      これらのほとんどは、書評のために、借りて読んでいます。
      月に1回、メンバーが集い、感想を述べ合う会議があります。
      そこで、ほかのメンバーが読んだ本、事務局が用意した本などを
      借りて持ち帰り、1ヶ月の間に読んだら、
      次の会議で、また感想を言い合います。
      会議に欠席すると、事務局が適当に選んで送ってきてくれます。

      で、この、「適当に選んで送ってもらった本」の中に
      けっこう拾い物があります。

      自分で選ぶと、どうしても偏りが生じがちなのですが
      人が選んだものを読むしかない状況になると、
      新鮮な発見があったりするわけです。

      前述の『獣の奏者』にしても、
      自分ではまず選ばなかっただろうなぁ。
      (これは、Mくんお勧めで借りたものだけど)

      本だけではなく、仕事をはじめとする、さまざまなこともそう。
      自分の好みで選んでいるつもりでも、
      ごくごく狭い選択肢の中から選ぶのでは
      失敗も多いのです。
      だから、ときどき、誰かに選んでもらうってのも
      煮詰まった状況を打破する手段として、
      悪くないんじゃないかな、と思います。

      でも、本や食べ物ならともかく、他人の生き方まで
      選ばされる役なんて、誰もやりたくないってのが本当でしょう。
      だから、神様の出番ってことになるのかな。
      神様のすることは、「え〜・・・・」ってなことも
      多いのですが、諦めてのっかってみたら、
      なかなか悪くなかった、ってことも、ときにはあります。
      前にも後ろにも進めないってときは、
      神様が選んでくれるまで、待ってみるってところでしょうか。



      | anomom_s | - | 14:55 | - | - |
      読書メモ 20100302
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        『獣の奏者 機‘蛇編』

        引き続き、児童文学です。
        塾に来ている5年生のMくんが、「面白いよ」って貸してくれました。
        彼には、私も、「面白いよ」って本を貸すことが多いのです。

        さて、こちらですが、
        運命に翻弄される少女・エリンを軸に、人と獣の関わりを描く
        異世界ファンタジーです。
        NHK教育でアニメ化されていますよね。
        絵柄が好きではなかったので、あまり興味を持っていませんでしたが、
        読んでみると面白かった。
        ただ「面白い」といっても、いろいろあって、
        「明るく楽しい」というより、
        どちらかというと、重く厳しい物語です。
        序章で、お母さんが刑を受け、獣に食い殺されちゃうぐらいなんですから。
        残虐シーンが苦手な私ですが、
        でも、その世界観には引き込まれます。
        謎がたくさんしかけてあって、ぐいぐい引っ張られてしまう。
        壮大なファンタジーって、その世界に入るまでに
        疲れてしまうことがけっこうあるのですが、
        この本については、そういうこともなく、
        すんなり入っていきました。
        早く兇読みたいなぁ。
        Mくんに、早く読み終わって貸してくれ、って催促しよう・・・。

        ☆☆☆☆
        | anomom_s | - | 14:11 | - | - |