アキ・カウリスマキ『浮き雲』
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    フィンランドの名匠アキ・カウリスマキの『浮き雲』を観た。
    夫は路面電車の運転手、妻はレストランの給仕係として、つましいながらも幸せに暮らしていたが、不況のあおりを受けて二人そろって失業してしまう。生活を立て直そうと奮闘するも、次から次へと、理不尽な出来事が二人を襲い……。
    というのがストーリー。カウリスマキの「敗者三部作」の一作目だそう。

    現在のフィンランドは、国連の「幸福度」ランキングでも2年連続1位を獲得するなど、明るいイメージがあるけれど、かつては経済的に豊かとはいえず、近隣諸国へ出稼ぎにでる人が多かったらしい。

    そういう背景を知らずに見たので、最初は(え〜〜〜……)と思っていたのだが、これがじわじわと心に染み入るよい映画だった。
    えっ? このストーリーのどこがよいのか?と思うかもしれないけれど、それは見てのお楽しみで。
    影の中に差し込むかすかな光はとりわけ美しく感じられる。

    敗者三部作という以上(この言葉はカウリスマキ本人の弁らしい)、人生ウハウハな人がみたら、何も感じない退屈な映画なのかなあ。もしそうなら、この映画を味わい深いと感じるのは、私もやはり敗者だったのかしらん……。敗者であることで、感じられる世界が広くなるなら、それならそれで敗者もあながち悪くないなと思う。

    あと、敗者三部作があるなら、勝者三部作ってのもあっても面白いなあとぼんやり思った。
    だれのどんな作品になるのかな、想像もつかないけれど。
    | anomom_s | - | 18:56 | comments(0) | - |